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アカデミックライティングとは?

2023.09.26 /Tips

はじめに
アカデミックライティングとは、論文やレポート課題などの学術的な文章を書くスキルを指します。 アカデミック(学術的)な文章には厳格なルールが存在し、独自の文章構造やスタイルがあります。
普段の英作文に慣れている人でも、アカデミックライティングで必要なスキルは一般的な文章とは異なるため、 そのためのスキルを身につける必要があります。アカデミックライティングは、日本語の論文・レポートの書き方にも通底するので、 大学やその後の職場でのキャリアにも役立てることができ、大きなアドバンテージとなるでしょう。 大学などの学術機関や企業や団体では、ライティングに価値が置かれ、アカデミックな英語を使って書くことが多く求められます。
アカデミックライティングを身につけるためには、普段の英作文とは少し違ったアプローチ方法とポイントを学び、 あとはひたすら練習あるのみです。アカデミックライティングは英語を運用する能力の中でも高度なスキルであるため、 英語のレベルが中級から上級になってから取り組むことがおすすめです。
それでは、英語のアカデミックライティングとはどのようなものなのか、具体的なポイントを見ていきましょう。
 
アカデミックライティングの特徴
一般的にアカデミックライティングには以下のような特徴があります。

・フォーマルな文体
日常会話など、カジュアルな文脈で使用するような単語や表現を避け、 ビジネスライティングや公式文書を書くときのような、フォーマルな書き言葉を使うことが推奨されます。 例えば、don’tなどの短縮形を使わずdo notと書く、ButやSoなどの接続詞を文頭で使用しない、 スラングや話し言葉を使わない、など。

・先入観がなく公平な視点
アカデミックライティングは偏りがなく公平な情報の伝達を目的にしています。 作者の先入観や思い込みを排除し、確固としたエビデンスをもとに論旨を展開する必要があります。 すべての主張は関連性のあるエビデンスに裏打ちされている必要があります。 また、バランスの取れた視点が重要で、議論のあらゆる面を考慮し、主張に偏りがないことが重要です。 すべての研究・証拠・議論には疑う余地があり、書き手は特定のトピックについての立場をはっきりさせることが必要です。

・明瞭で簡潔
意図していることが読者に正確に伝わるよう、明瞭で簡潔な言葉で書く必要があります。 できるだけ具体的に書き、曖昧な言葉の使用は避けます。 例えば、「perhaps」などの言葉は議論に自信がないかのような印象を与えるので避けます。 また、冗長な表現では、伝えたいこと・説得したいことが伝わりづらく、文章の目的が不明瞭になってしまいます。 意図する意味が変わらないのであれば、できる限り、より明快な表現に置き換えたり、省略したりしましょう。

・集中的な議論で、構成がしっかりしている
アカデミックな文章には、明確な目的がなければなりません。 関連のある研究課題や主題文から書き始めて、集中した議論に発展させましょう。 全体の目的に合った内容のみを盛り込むようにします。
アカデミックライティングにはしっかりとした全体の構成があることが重要です。 基本の構成は、序論、本論、結論の3段階です。 理路整然としていて、論理的に展開され、まとまりのある文章でなければなりません。 また、しっかりとした構成の文章になるよう、書く前の入念な推敲が必要です。

・良い出典に基づいている
アカデミックライティングとは、情報に適切な証拠を添えて論じていく科学的な文章です。 学術論文において、特定の事象や実験結果に対する主張をするには、それを裏付ける証拠が不可欠で、 それなしには研究論文で意見を述べることはできません。 そしてその資料や証拠をただ提示するだけでなく、重要なのはその繋がりで、論理的に主張が展開されていることが必要です。
アカデミックライティングの主張は、そこに書かれた情報が「論理的か、正確か、信じるに足るか、根拠があるか」 ということを判断されるので、情報には明確な根拠を添えて提示しなくてはなりません。
どのソースを出典として使うかは慎重に選びましょう。 例えば、ウィキペディアなどを出典とするのは望ましくありません。 ウェブサイトなどを出典にするのではなく、学術文献や大学図書館の情報などを使用するのがよいでしょう。
文献を引用する際は、ルールに則って適切に行わなければ、研究者であれば盗用とされ、 学生であれば減点、最悪の場合は退学扱いになるほど、厳重な処罰の対象となるため、 引用方法はしっかりと確認しておきましょう。

・批判的であること
アカデミックライティングは、ただ説明するだけの文章であってはなりません。 筆者は読む文献の内容をすべて受け入れるべきではなく、書かれている内容について、情報を分析し評価することが必要です。 それについて判断し、文章の中でどのように扱っていくかを考えなくてはいけません。 これはクリティカルライティングとも言われ、書き手は書く内容について批判的な立場に立てるほど、 深く理解していることが必要で、十分なリサーチをすることが要求されます。

・正確で一貫性がある
文法や句読点、引用の表記が正しく書かれていることはもちろん、次のような項目が正確に書かれていることが求められます。 専門用語、数字の表記、略語・略称の表記、動詞の時制の表記、大文字の表記、アメリカ英語・イギリス英語の表記の違い、など。 アカデミックライティングは表記が正確でミスがないことが求められるので、提出の前に間違いがないか、よく見直すことが重要です。 第三者に校正してもらうことも有効です。

・客観的
アカデミックライティングでは個人的・主観的な意見を述べてはならず、客観的でなくてはなりません。 つまり、書き手が思うことではなく、議論や情報に重点が置かれます。 したがって自分の考えを述べるとき、I think、I believe、in my opinion, youなどの人称代名詞は使いません。 アカデミックライティングでは次の例に示すように、非人称的な文章が使われます。
<悪い例>
・In my opinion…
・I think that…
・I like/dislike…
・I think the experiment shows…
<良い例>
・This paper will argue that…
・It is evident that…
・Considering the results, …
・The results of the experiment imply…
また、アカデミックライティングでは、感情に訴えたり主張を誇張したりすることは避けなければなりません。 自分の主張を訴えたいがために大げさな表現を使ったり、根拠のない主張をしたり、美辞麗句を並べたりするのはやめましょう。
アカデミックライティングで一番重要なのは事実です。感情的な言葉はアカデミックな文章では通常、使用するべきではありません。 例えば、何かをbadやterribleと書くのではなく、inadequateやpoorなどのように表現するのが良いでしょう。

<悪い例>
This horrible tragedy was obviously one of the worst catastrophes in aviation history.
Earnest Hemingway is the greatest writer of the 20th century, and his influence on all subsequent literature is enormous.
<良い例>
The injury and mortality rates of this accident were among the highest in aviation history.
Ernest Hemingway is one of the best-known writers of the 20th century, and has had a significant influence on the development of the American novel.
 
ライティングの際の具体的な注意点
・同じ意味ならできるだけ短い表現を使う
次の例のように、同じ意味ならできるだけ短い表現を使うようにしましょう。
・in order to ⇒ to
・be able to ⇒ can
・prior to ⇒ before
・for the purpose of ⇒ to
・due to the fact that ⇒ because
・despite the fact that ⇒ although
・with regard to ⇒ about
・in the event that ⇒ if
・受動態ではなく能動態で書く
受動態で書くと、動詞の印象が弱くなり、動作主も分かりにくい上、文章が長くなりがちです。 能動態にした方が文章はすっきりし、言いたいことがダイレクトに伝わります。
・There is/are 構文、It is …構文を使わない
There is / are …の構文や、It is … to /that …構文などは、受動態を避ける理由と同じになりますが、 be動詞を使うと動詞の印象が弱くなり、文章も長くなりがちになります。 完全に使わないことはできませんが、できるだけ使わないようにするとよいでしょう。 よりダイレクトなActive verb を代わりに使えないか考えてみましょう。
・Strong verbを使う
Strong verbとは、具体的で、説明的で、示唆に富む動詞のことで、 複数の印象の弱い語句の代わりに1語で同じ意味を正確に印象深く表現できてしまう動詞のことです。 アカデミックな文章ではこうしたstrong verb の使用がおすすめです。
また、アカデミックな文章では句動詞の使用を避けます。 句動詞とは「動詞+前置詞または副詞」で成り立つ熟語動詞で、 例えばthink about(代わりにconsiderを使う)、give up(代わりにabandonを使う)などがあります。
・否定文ではなく、肯定文で書く
否定文で書くよりも肯定文で書く方が直接的で伝わりやすいものです。 とはいえ、否定文が悪いというわけではなく、否定文を書くことに何ら問題はありません。 ただ、否定文より肯定文で書いた方が明瞭簡潔な文章になることがよくありますので覚えておきましょう。
・不要な修飾語は削除する
明瞭簡潔な文章にするためには、無くても意味が変わらないものは外す、ということが重要です。以下のような表現は、削除するのが望ましいでしょう。

Actually, really, kind of, quite, very, type of, definitely, just, so 等

日常で書く文章ではこのような表現をよく使いますが、アカデミックな文章では避けましょう。 その言葉によって意味が変わらないのであれば、その言葉は必要ありません。 必要のない語彙は削除することがポイントです。全体の語数をできるだけ減らすようにしましょう。
・意味の広い基本動詞は使わない
アカデミックな文章では、日常会話でよく使うカジュアルな単語は使わず、フォーマルな表現を好むため、 get、do、put、have、take、make、giveなどのような基本動詞は避けた方がよいでしょう。 別の表現に置き換えられないか考え、例えばhad to は was forced toや was required to などに、 get はobtain に、take off はremoveにすると、より論文らしい表現になるでしょう。
・And、But、Soを文頭に置かない
英語のライティングでは、文頭をAnd、But、Soなどの接続詞で始めるのは誤りです。 文頭には、Andではなく、In additionまたはMoreover、ButではなくHoweverまたはNevertheless、 SoではなくThereforeまたはHenceなどを使います。 間違えないようにしましょう。
 
アカデミックライティングでよく使う表現
英語のアカデミックな文章でよく使われる定番の表現があるのでご紹介しましょう。 論文では正確に伝わることが重視され、表現のユニークさは不要とされるので、型通りの表現が好まれます。

・論文の目的を述べる表現
The purpose of this study is…
この研究の目的は~だ

This paper examines…
この論文は~について調査する

The main objective of this paper is…
この論文の主な目的は~だ
・例を挙げる表現
For example, …
例えば~

For instance, …
例えば~
・表で示す表現
Table A shows …
表Aは~を示している

The graph A indicates …
図表Aは~と示している
・比較する表現
In contrast to…
~と対照的に

On the one hand, …On the other hand, …
一方では~だ。もう一方では~だ。
・引用する表現
According to A,…
Aによると、~

A states that…
Aが~と言っている

A points out that …
Aは~と指摘している
 
アカデミックライティングの書き方
それでは、アカデミックライティングを実際に書く方法を解説します。

(1)アウトラインと下書きを書く
アカデミックな論文を書く際には、実際に書き始める前に計画を立てるところから始めます。 この準備に費やす時間はとても重要で、これをアウトラインと言います。 アウトラインを書くことで、書く内容をしっかりと計画することができます。 考えがまとまり、論文全体が理路整然とします。
アカデミックライティングは、家を建てることに似ています。 詳細な計画なしに家を建て始めたりはしないものです。 計画なしに家を建てたら途中で崩れてしまうかもしれません。 アウトラインは好きなように自由に書いて構いません。 図表でも何でも良いので、自分に合った書き方をしましょう。 もう一つ大事なことは、下書きを書くことです。下書きとは、まだ完成していない論文です。 筆者が何度も編集し、修正し、下書きを重ねることで論文は出来上がっていきます。 下書きを書くことによって、完成度の高い論文が出来ます。
(2)説得力のある主張をし、それを証明していく
どのようなアカデミックな文章にも、主題があります。ライティングの中心となる主張が主題です。 主題とは、その論文の中で筆者が主張することであり、論文はその正しさを証明するためのものです。 論文の主題は簡単なものから複雑なものまで色々あるでしょう。 いかなるアカデミックライティングにおいても主題は重要です。主題となる主張は、短く要点を得たものでなければなりません。
(3)序論と結論をつける
アカデミックな文章を書く際になくてはならない構成として、タイトル・序論と結論・参考文献といった要素があります。 タイトルや結論には、書き方に一定のルールが存在します。 タイトルはその文章の内容を端的に表す箇所です。 主題を説明し、興味を引き付けるようなものにしましょう。 タイトルに含まれる単語は、冠詞・接続詞・前置詞を除き全ての頭文字を大文字にします。 またサブタイトルを付ける際にはコロン(:)を使います。
アカデミックな文章では序論と結論はなくてはならないものです。 序論は、これから書くことを宣言する導入部分です。 その文章を書く目的や研究の方法を明らかにして、方向性を示します。 結論は、それまで書いてきたことから何が言えるのかをまとめる部分です。 本文の総括なので、本文中で述べていない新しい事象を盛り込んではいけません。
(4)参考文献をつける
アカデミックな文章を書くとき、程度の差こそあれ、既にある文献を手がかりにして研究を進めることになります。 調査の際に参照した文献は、必ず参考文献として明記しなくてはなりません。 他の文献の情報や記述を、参考文献として明記せずに転載すると、剽窃(plagiarism)とされ、論文として失格とされてしまいます。
(5)校正してもらう
下書きを書いている段階で、間違いや修正すべき点を知るには、第三者に校正してもらうのが一番です。 自分の書いた文章を構成してくれる人を見つけて、フィードバックを受けてみましょう。 ライティングがより良いものになるはずです。
まとめ
英語のアカデミックライティングの特徴についてまとめてご紹介しました。
アカデミックライティングには様々な決まりがあり、初めは難しく感じるかもしれません。 習得するには書く練習が不可欠ですが、他の論文を読むことも同じくらい有効です。 ご自身の専門分野の内容の論文をたくさん読むことで、その特徴が分かってくるはずです。 練習を続ければ、必ず上達しますので、ぜひあなたも英語のアカデミックライティングをマスターしましょう!
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